日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 専門医在籍施設

外耳道炎(がいじどうえん)の治療について

外耳道炎(がいじどうえん)とは

外耳道炎は、耳の穴から鼓膜までの通り道である「外耳道」の皮膚に炎症が起こる病気です。

多くの場合、耳かきや指の爪などで耳の中をひっかいて小さな傷ができ、そこから細菌が侵入して感染・炎症を生じます。その結果、子どもでは耳を痛がったりかゆがったりして耳を頻繁に触るようになり、さまざまな不快な症状が現れます。

主な症状

外耳道炎になると、以下のような耳の痛みやかゆみをはじめとする症状が現れます。

症状の程度はさまざまですが、痛みが強い場合は睡眠に影響が出ることもあります。特に耳たぶを引っぱったり耳の入口を押したりすると痛みが増すのが外耳道炎の特徴です。

お子さんの場合、大人にうまく痛みを訴えられず耳を頻繁に触る仕草で違和感を示すことがあります。

  • 耳の痛みやかゆみ
    • 耳の中の炎症により、ズキズキする痛みやムズムズするかゆみが出ます。初期はかゆみだけでも、放置すると強い痛みに発展することがあります。
  • 耳だれ(耳からの液体)
    • 耳の中で炎症がひどくなると、黄色や白の膿のような分泌物が出てくることがあります。これを耳だれ(耳漏)と呼び、においを伴うこともあります。
  • 耳のつまった感じや耳鳴り
    • 外耳道の腫れや分泌物により耳が塞がると、音がこもったように感じたり、耳鳴り(キーンという音やザーザー音)が生じたりします。耳がふさがった圧迫感(耳閉感)を訴えることもあります。
  • 聞こえにくさ(聴力低下)
    • 炎症で外耳道が腫れると音が鼓膜まで届きにくくなり、耳が遠くなったように感じます。

症状が進行して痛みが非常に強い場合や耳だれが続く場合は早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。小さなお子さんで夜間に激しく泣く、発熱を伴うなどの場合は中耳炎の可能性もあり、放置せず専門医に診せることが大切です。

耳掃除(耳かき)について

耳かきによる外耳炎が非常に多いため、日頃の耳掃除の方法を見直すことが予防につながります。耳の穴の皮膚は薄くデリケートで、頻繁な耳かきや綿棒での掃除は皮膚を傷つける最大の原因です。

傷ついた皮膚から菌が入り込むと外耳道炎を発症しやすくなります。実際、当院を受診される外耳道炎の患者さんの多くは耳掃除のしすぎが原因です。

  • 耳掃除の適切な頻度
    • 耳垢(耳あか)は本来、皮膚の新陳代謝によって自然に外へ押し出されていきます。そのため、基本的に耳掃除はそんなに頻繁に行う必要はありません。2週間に1回程度、入浴後などに綿棒で耳の入り口を優しく拭う程度で十分です。それ以上の頻度で掃除するとかえってトラブルの原因になります。「しない勇気」も大切と覚えておきましょう。
  • 耳掃除の方法と注意点
    • 細い耳かき棒や先の尖った器具で奥までゴリゴリ掃除するのは厳禁です。耳掃除をするときは清潔な綿棒を用い、耳の入口付近をなでる程度にとどめます。奥まで入れると外耳道を傷つけるだけでなく、耳垢を奥に押し込んでしまい耳垢栓塞(耳垢の塊が詰まること)を招く恐れもあります。
  • 耳鼻科での処置のおすすめ
    • 耳垢が奥に詰まってしまったり、子どもが嫌がって自宅でうまく掃除できない場合は、無理に家庭で取ろうとしないでください。耳鼻咽喉科では専用の器具や吸引装置を使い、安全に耳垢の除去や外耳道の清潔な処置を行えます。特に小児の場合、無理に耳掃除しようとして耳を傷つけるよりも、専門医に任せる方が安心です。

なお、外耳道炎になってしまった場合は治るまで耳かきや綿棒で耳を触ることは避けましょう。治療中に耳の中をいじると症状が悪化したり治りが遅れたりします。完治するまではご本人もご家族も耳に指や器具を入れないよう十分注意してください。

また、耳かき以外にも水が原因で外耳道炎になるケースがあります。いわゆるスイマーズイヤー(Swimmer’s Ear)と呼ばれるもので、プールやお風呂で耳に水が入る機会が多いと外耳道の皮膚がふやけて菌が繁殖しやすくなります。特に不衛生な水が入った場合は感染リスクが高まります。

お子さんの耳に水が入ったときは放置せず、後述のケアのようにしっかり水を出して乾燥させるようにしましょう。

放置するとどうなる?外耳道炎のリスク

外耳道炎は適切に治療すれば快方に向かいますが、もし症状を甘く見て放置すると次のようなリスクがあります。

  • 症状の悪化・重症化
    • 最初は軽いかゆみ程度でも、原因となる耳いじりの習慣などを改めないままだと再び炎症がぶり返し、痛みや腫れがどんどん増していくおそれがあります。外耳道の腫れがひどくなると耳が塞がって音が聞こえにくくなり、強い耳の痛みで食事や睡眠にも支障を来すようになります。特に小児は症状の進行に気づきにくいため、早めの対処が肝心です。
  • 聞こえにくさ・難聴のリスク
    • 炎症を放置し腫れや分泌物が増えると、一時的に聞こえにくさが生じるだけでなく、長引くと外耳道の皮膚が厚く硬くなって耳の穴自体が狭くなってしまうことがあります。そうなると音の通り道が物理的に狭まり、慢性的な伝音難聴(音の伝わりの悪い難聴)を残す可能性もゼロではありません。実際に外耳炎が重症化すると難聴になる可能性もあります。お子さんの発達にとって聴力は大切ですから、「少し聞こえにくそうだな」と感じたら早めに治療しましょう。
  • 慢性化・再発の繰り返し
    • 外耳道炎をしっかり治療せずにいると炎症が長引き、皮膚がただれた状態が慢性化してしまうことがあります。慢性の外耳炎(外耳道湿疹)になると耳の中のかゆみが慢性的に続き、少し良くなってもまた掻いて悪化するといった悪循環に陥ります。一度治っても原因となる習慣(例えば耳かきのしすぎ)が直っていなければ何度でも再発し得る点にも注意が必要です。
  • 重篤な合併症(まれ)
    • 高齢者や糖尿病の方など免疫力が低下している場合、外耳道炎が治らずに悪化すると悪性外耳炎と呼ばれる重い合併症に進展することがあります。これは外耳道の感染が周囲の骨まで達し、骨髄炎を起こしたり顔面神経まひ(顔が動かない)などを引き起こす非常に危険な状態です。幸い小児を含む一般的な健康な方では極めてまれですが、実際に悪性外耳炎は致命的になり得る病気でもあります。「たかが耳の病気」と思わず、やはり早めに適切な治療を受けることが何より大切です。

以上のように、外耳道炎を放置することは様々なリスクを伴います。特に持病がある方やご高齢の方では重症化しやすいため注意が必要ですが、小さなお子さんでも痛みや聞こえの悪さによって生活の質が大きく低下してしまいます。耳の痛みや異常を感じたら、「様子を見る」と決め込まずになるべく早めに専門医を受診して適切な治療を受けてください。

よくある質問(FAQ)

外耳道炎は自然に治りますか?

軽度の外耳道炎であれば、耳をいじらず清潔に保って様子を見ることで自然に治ることもあります。実際、かゆみだけで終わり痛みが出ずに治まるケースもあります。

しかし痛みがある場合や症状が数日続く場合は、放置せず耳鼻科での治療が必要です。自然に良くなるかの判断は難しく、悪化させてしまうと治療期間も長引いてしまいます。特に耳の痛みや耳だれがある場合は早めに受診してください。「様子を見る」のはせいぜい2~3日程度にとどめ、改善しなければ医師に診てもらうことをお勧めします。

病院にはどのタイミングで行くべきでしょうか?

耳の痛みや異常を感じたら、できるだけ早めに受診するのが理想です。特にお子さんの場合は症状の進み具合を自分で判断しにくいため、早期受診が安心につながります。目安として、数日様子を見ても改善しない場合や、痛みが強くてつらい、耳だれが出ている、耳が聞こえにくいといった症状がひとつでもあれば、その時点で耳鼻咽喉科を受診してください。

また発熱や夜間の強い痛みを伴う場合は中耳炎の可能性もありますので、ためらわず受診しましょう。症状が軽くても「子どもがしきりに耳を気にしている」という場合には、早めに診せて異常がないか確認してもらうとご家族も安心できます。

子どもがよく耳を触ります。受診した方がいいですか?

はい、受診をお勧めします。 小さなお子さんが頻繁に耳を触る場合、耳の中にかゆみや違和感があるサインかもしれません。外耳道炎を含む耳のトラブルでは、子どもは痛みをうまく言えず耳をいじる仕草で訴えることがよくあります。耳をよく触っている以外に機嫌が悪い、夜に眠れない、発熱するといった様子があればなおさら早めの受診が安心です。

たとえ大きな症状がなくても、耳の中を専門医にチェックしてもらえば異物や耳垢づまりの有無も含めて確認できますし、何も問題なければそれに越したことはありません。お子さんの「耳がおかしい」というサインを見逃さず、気になるときは遠慮なくご相談ください。

まとめ:症状に気づいたらお早めに受診を

外耳道炎は耳の痛みやかゆみ、耳だれなど不快な症状を引き起こしますが、適切な治療によって改善が期待できる病気です。特に小さなお子さんの場合、耳のトラブルは放っておくと言葉や発達にも影響しかねません。少しでも「おかしいな」と感じたら早めに耳鼻科を受診して専門医に診せてください。

当院では日本耳鼻咽喉科学会認定の専門医が、患者さん一人ひとりの症状に合わせた診療を行います。外耳道炎かなと思ったらどうぞお早めにご相談ください。