日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 専門医在籍施設

【耳鼻咽喉科専門医が解説】サーフィンをするなら知っておきたいサーファーズイヤーとは?

目次

サーファーズイヤーとは、外耳道(耳の入り口から鼓膜まで続く、耳の穴のこと)を指します。

患者さん

先生、最近耳が聞こえづらいんですけど、サーフィンをよくやってるせいですかね?

田中先生

それは「サーファーズイヤー」かもしれませんね。これは、冷たい海水や風が長期間耳に当たることで、外耳道の骨が徐々に隆起してくる病気です。正式には「外耳道外骨腫」と呼ばれています。

患者さん

骨が増えるってどういうことですか?

田中先生

外耳道の壁にある骨が、冷刺激に反応して徐々に厚くなるんです。体が耳を守ろうとして骨を増やすようなイメージです。サーフィンを10年以上続けている人の60〜80%がこの状態になるというデータもあります。


患者さん

症状はどんな感じなんですか?

田中先生

初期のうちは無症状のことも多いのですが、進行すると以下のような症状が出ます。

  • 耳が詰まった感じがする
  • 水や耳垢が溜まりやすい
  • 外耳道炎になりやすくなる
田中先生

特に海水が耳の中に溜まって抜けにくくなると、炎症が起こって痛みが出たり、耳だれが出ることもあります。


患者さん

どうやって診断するんですか?

田中先生

当院ではCT検査ができないので「耳の中を内視鏡で観察したり、場合によっては、より詳しく調べるために総合病院で耳のCT検査をすることもあります。これで骨の隆起がどれくらいか、耳の穴がどれだけ狭くなっているかを調べます。


患者さん

治療ってどうするんですか?自然に治るものなんですか?

田中先生

残念ながら自然には治りません。軽度なら耳掃除や点耳薬で様子を見ますが、狭窄が高度で聞こえにくい場合や炎症を繰り返す場合は手術が必要になります。


患者さん

一度手術すればもう大丈夫ですか?

田中先生

外耳道外骨腫は手術しても比較的再発しやすい病気なんです。骨の隆起は刺激を受け続けることで再び起こります。なので、予防も大事です。


患者さん

では、どうやって予防すればいいんですか?

田中先生

以下のような対策が有効です。

  • 耳栓の使用:冷水や風を直接耳に当てないようにする
  • ヘッドキャップの着用:特に冬場に有効です
  • 海から上がった後の耳掃除・乾燥
  • 定期的に耳鼻科でのチェック
田中先生

特に耳にフィットするサーフィン用耳栓の使用は、医学的にも推奨されていますよ。


患者さん

耳が詰まる感じって中耳炎とも似てませんか?

田中先生

とても良い質問ですね。サーファーズイヤーと外耳道炎中耳炎は症状が似ています。違いは以下の通りです。

  • 外耳道炎:耳の皮膚の炎症で、痛みが強く出る
  • 中耳炎:鼓膜の奥が炎症を起こす。発熱や聴力低下が目立つ
  • サーファーズイヤー:骨の変形による伝音難聴。痛みは少ない

患者さん

子どもや年配の人もなりますか?

田中先生

長年水に接していれば年齢に関係なく起こりえます。ただし、小児では骨が柔らかいため進行が遅く、高齢者はサーフィンを続けていない限り新たな発症は少ないですね。


  • サーファーズイヤーは、冷水や風による外耳道の骨の隆起で耳が詰まりやすくなる病気。
  • 症状は難聴、耳閉感、耳だれなど。炎症を併発することもある。
  • 診断は視診とCTで行い、重度なら手術が必要
  • 再発予防には耳栓などの物理的防御が必須
  • サーフィン経験者の60〜80%に発症リスクがあるとされている。
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