日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 専門医在籍施設

台風シーズンに増える「気圧性の耳トラブル」

患者さん

先生、台風が近づくと耳が詰まったような感じがして、時々めまいまで出るんです。これは気のせいでしょうか?

田中先生

気のせいではないかもしれません・・・台風などで急に気圧が下がると、耳の奥にある「内耳」が影響を受けて不調を感じることがあります。耳が塞がったような「耳閉感」、ふらつくような「めまい」、一時的な「難聴」などが起こりやすいんです。

患者さん

飛行機に乗ったときに耳がキーンとするのと同じようなものですか?

田中先生

似ていますが少し違います。飛行機の場合は中耳に空気の圧力差がかかりますが、台風のときは主に「内耳」がセンサーのように気圧の変化を感じ取り、自律神経に影響を与えるのです。大きな台風では気圧が100hPa近くも下がることがあり、これは標高1000mの山に一気に上がるのと同じくらいの変化です。体にとっては大きな負担なんですね。

患者さん

なるほど…。耳だけでなく体全体がだるくなることもあるのですが、それも関係していますか?

田中先生

はい、それはいわゆる「気象病」と呼ばれる現象です。正式な病名ではありませんが、気圧や天気の変化で体調が左右されることを指します。頭痛や関節痛だけでなく、耳の不調も典型的な症状です。特に耳の中の血流が悪かったり、自律神経が乱れている方は影響を受けやすい傾向があります。

患者さん

そう言えば、私の知人も「雨が降る前は耳がこもる」と言っていました。女性に多いと聞いたこともあります。

田中先生

その通りです。統計では、女性の方が気圧変化による不調を感じやすい傾向があります。内耳が敏感だったり、自律神経の調整がうまくいかないことで、耳鳴りやめまいが出やすいのです。また、メニエール病の持病がある方では、台風シーズンに症状が悪化しやすいことも知られています。

患者さん

私の場合、台風のたびに耳が詰まったり、聞こえにくくなったりするんです。でも受診するほどではないかなと、つい我慢してしまいます…。

田中先生

繰り返し起こるようなら我慢せず受診してください。症状が軽くても生活に支障が出るようなら、検査やお薬で改善できることがあります。耳鼻科では聴力検査を行います。

患者さん

受診する目安はどう考えたらいいでしょうか?

田中先生

例えば「症状が1〜2週間以上続く」「天気が崩れるたびに強く出る」「めまいで立っていられない」「耳鳴りや難聴が長引く」といった場合は、早めの受診をおすすめします。特に普段と違う強い症状が出たときには、突発性難聴や脳の病気など別の原因の可能性もありますから注意が必要です。

患者さん

わかりました。今までは「天気のせいだから仕方ない」と思っていましたが、ちゃんと対処すれば楽になるんですね。

田中先生

その通りです。気圧の変化自体は避けられませんが、適切にケアすれば症状を和らげられます。もしつらいときは我慢せず、ぜひ受診してください。

目次

まとめ

  • 台風シーズンと耳の不調
    • 気圧の急激な低下によって、耳閉感・めまい・難聴などが起こることがある。
  • 仕組みの違い
    • 飛行機で起こる耳の痛みは中耳の圧力差によるが、台風による耳の不調は内耳が気圧変化をセンサーのように感じ取り、自律神経に影響を及ぼすことで起こる。
  • 気圧や天気の変化で頭痛や倦怠感だけでなく、耳の不調も出やすい。特に女性や内耳疾患(メニエール病など)を持つ人は影響を受けやすい。
  • 受診の目安
    • 症状が1〜2週間以上続く
    • 天気が崩れるたびに強く出る
    • めまいで立てない、耳鳴りや難聴が長引く
    • 普段と違う強い症状がある
      → こうした場合は耳鼻咽喉科の受診が推奨される。
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