日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 専門医在籍施設

「めまいが止まりません…」耳鼻科医が語る“耳からくるめまい”の正体とは?

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患者さん

先生、急に天井がグルグル回って立っていられないような感じになったんですが、これって何かの病気ですか?

田中先生

それは『耳性めまい』の可能性がありますね。耳の奥にある“内耳”という器官には、音を感じる“蝸牛”と、バランスを感じる“前庭”や“三半規管”があるんです。ここに異常が起きると、バランス感覚が乱れて“ぐるぐる回るようなめまい”が出ます。

患者さん

確かに、回るようなめまいがして気持ち悪くなって、吐きそうになったこともありました。

田中先生

典型的な回転性めまいですね。耳からくるめまいでは、以下のような症状を伴うことがよくあります。

  • 吐き気や嘔吐
  • 耳鳴りや難聴
  • 耳が詰まったような感覚(耳閉感)
  • ふらつきやバランスが取れない感じ
田中先生

症状は一時的なこともありますが、数時間〜数日間続くこともあるため、日常生活に支障をきたす場合もあります。

患者さん

朝起きて頭を動かしたときとか、寝返りを打ったときにめまいが出ることもあります。

田中先生

それはBPPV(良性発作性頭位めまい症)の典型ですね。耳の中の小さな石(耳石)がはがれて三半規管に入り込み、特定の頭の動きでめまいが誘発されます。通常、数10秒〜1分でおさまるのが特徴です。

患者さん

それとは別に、耳鳴りと難聴もあるんですけど…。

田中先生

それはメニエール病の可能性もあります。耳の中のリンパ液が増えて内耳の圧力が高まることで起こります。回転性めまいに加えて、

  • 難聴(特に低音域から)
  • 耳鳴り
  • 耳が詰まった感じ
田中先生

などを繰り返す発作型が特徴です。発作は20分〜数時間続くこともあります。

田中先生

めまいが何日も続いたことはありませんか?

患者さん

はい、数日前からずっとフラフラしています。

田中先生

それは前庭神経炎かもしれません。前庭神経という“平衡感覚の神経”がウイルスなどで炎症を起こすことで起きます。聴力は保たれていますが、強いめまいが数日続くのが特徴です。

田中先生

急に耳が聞こえづらくなって、めまいを伴う場合は、突発性難聴が原因の場合もあります。くしゃみやリキみ、飛行機に乗ったあとなどでめまいが起きた場合、内耳のリンパ液が漏れ出す『外リンパ瘻』が原因のこともあります。

患者さん

どんな検査をすれば、耳が原因だってわかるんですか?

田中先生

耳鼻咽喉科では以下の検査を組み合わせて、原因を特定します。

  • 耳の診察(中耳炎の有無など)
  • 聴力検査(難聴の有無)
  • 眼振検査(めまいの際に見られる眼が無意識に動く「眼振」という現象の有無)
患者さん

治療って薬だけですか?

田中先生

治療は原因によって異なります。多くは薬物治療と生活習慣の見直しで改善します。

患者さん

耳鼻咽喉科に行くべきかどうか迷うこともあるんですが…

田中先生

以下のような症状がある場合は、耳鼻咽喉科を早めに受診してください。

  • めまいと同時に耳鳴り・難聴がある
  • めまいが何度も起こる
  • 片耳だけの症状が目立つ
田中先生

一方、以下のような症状がある場合は耳鼻咽喉科ではなく、脳神経クリニックを速やかに受診してください。脳梗塞の可能性があります。

  • めまいと同時に頭痛がある
  • 手足が麻痺してうまく動かない
  • 呂律が回らない
田中先生

耳が原因なのか、脳が原因なのかを正確に見極めるためにも、耳鼻咽喉科での診察が重要です。

患者さん

ありがとうございます!受診してきます!

  • 耳の奥(内耳)の異常が「回転性めまい」を引き起こす
  • 代表的な病気:BPPV、メニエール病、前庭神経炎、突発性難聴など
  • 聴覚症状(耳鳴り・難聴・耳閉感)を伴う場合は耳性の可能性が高い
  • 検査は聴力検査・眼振検査・平衡機能検査など
  • 原因によりリハビリ・薬・生活指導などを行う
  • 耳鳴りや難聴を伴うめまいは、耳鼻咽喉科での専門的な診断が必要
  • 頭痛や手足の麻痺、うまく喋れない時のめまいは、脳神経クリニックでの専門的な診断が必要
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