日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 専門医在籍施設

春に多い“気象病”による耳の不調とは?

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患者さん

先生、最近春になってから体がだるくて、耳が詰まったような感じもするんです。これって気のせいでしょうか?

田中先生

いえ、それは“気象病”の可能性がありますよ。特に春は気温や気圧が激しく変動する季節なので、自律神経が乱れやすく、体調を崩しやすいんです。

患者さん

気象病って、春に多いんですか?

田中先生

そうですね。春は前線や低気圧の影響で1日の気圧変化が6hPa以上になることも珍しくありません。この程度の変動でも、敏感な人の自律神経には負担になります。

6hPa差
  • 標高にして約50〜60m登ったり下ったりした時と同じ気圧変動
  • 飛行機が着陸・離陸時に感じる耳の違和感に近い圧力差

患者さん

そもそも気象病って、なぜ起きるんですか?

田中先生

耳の奥(内耳)には気圧の変化を感じとる部位があります。ここが気圧の変化を敏感に察知して、それが脳の自律神経中枢に影響を与えます。

患者さん

それが体の不調につながるんですね。

田中先生

その通りです。特に気圧が下がると、副交感神経が優位になりすぎて、頭が重くなる、耳が詰まる、めまいがするといった症状が出やすくなるんです。


患者さん

耳の詰まり以外にも、気象病の症状っていろいろあるんですか?

田中先生

ええ、たくさんあります。代表的なのは以下のような症状です

  • 頭痛(特に片頭痛)
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 肩こり、関節痛、腰痛
  • 気分の落ち込み、だるさ
田中先生

女性に多く、20~50代の約3人に1人が気象病の影響を感じているとも言われています。


患者さん

私の場合、特に耳が詰まる感じが強いんですけど、それも気象病の一種ですか?

田中先生

そうです。耳の中にある内耳(前庭・蝸牛)が気圧の変化に反応すると、耳の閉塞感、耳鳴り、軽いめまいなどが起こることがあります。

田中先生

特に「飛行機に乗ったときの“キーン”」「水の中に潜っている耳の感じ」と似ている症状を訴える方が多いですね。


患者さん

何か改善する方法ってあるんでしょうか?

田中先生

はい。自律神経を整える生活が基本です。以下のことを意識するといいですよ。

  • 朝起きたら太陽光を浴びる(体内時計を整える)
  • 夜更かしを避ける、睡眠の質を保つ
  • 軽い運動やストレッチを取り入れる
  • スマホ・PCの見すぎを避ける
  • 耳のマッサージを行う
田中先生

耳の後ろを軽く指で押したり、温かいタオルで温めるのもおすすめです。


患者さん

耳の詰まりには何が効果的ですか?

田中先生

おすすめは以下のような方法です。

  • 耳の周囲をゆっくりマッサージ(耳たぶを引っ張って回す)
  • あごを動かす体操(ガムを噛むような動き)
  • 暖かい飲み物で血流を促す
  • 市販薬(鎮痛薬など)の活用も有効なことがあります
患者さん

市販薬でも対応できるんですね。

田中先生

はい。頭痛や肩こりが強い場合は市販の鎮痛薬などを使うのも一つの方法です。購入の際は薬剤師あるいは登録販売者と必ずご相談ください。


  • 春は気温・気圧の変化が大きく、自律神経が乱れやすい
  • 耳の奥(内耳)の気圧の変化を感じとる部位が脳に影響を与えることが“気象病”の主因
  • 主な症状:頭痛・めまい・耳鳴り・耳の閉塞感・関節痛など
  • 耳の不調も気象病の一症状として現れることがある
  • 対処法:生活リズムを整える・耳マッサージ・運動・温熱療法
  • 約3人に1人が気象の影響で不調を感じているというデータもある
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