日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 専門医在籍施設

【耳鼻咽喉科専門医が解説】耳管開放症の症状とはどんなもの?

目次
患者さん

先生、最近、自分の声がやけに耳に響くんです。これって何かの病気ですか?

田中先生

それは“耳管開放症”かもしれませんね。耳と鼻をつなぐ“耳管”という細い管があるのですが、本来は無意識に開閉していて、特にあくびや飲み込みをしたときに意識的に開くことができます。でも、耳管開放症ではこの耳管が常に開いてしまって、鼻やノドの音がそのまま耳に響くようになります。


患者さん

やっぱりおかしいと思ってました…。自分の声が頭の中で反響してるような感じがします。

田中先生

それは“自声強聴(じせいきょうちょう)”という症状です。ほかにも、呼吸音が聞こえたり、耳が詰まった感じ=“耳閉感”が起こる人もいます。

患者さん

なるほど…今朝は自分の呼吸音まで聞こえて気味が悪くて。

田中先生

実は耳管開放症の患者さんの多くが、そうした自己音の聞こえ方に悩まされています。特に安静時や静かな場所で気づくことが多いですね。


患者さん

どうしてこんなことになるんでしょうか?

田中先生

よく言われるのは、急激な体重減少です。ダイエットや病気でやせたときに、耳管の周りの組織のボリュームが減って、管が開きっぱなしになるんです。

患者さん

実は、最近ダイエットして5kgくらい落としたんです…。

田中先生

それが原因かもしれませんね。ほかにも脱水、ストレス、ホルモンの変化(妊娠中など)も関係します。特に女性の患者さんに多く見られますよ。


患者さん

検査って痛いんですか?

田中先生

痛みはほとんどありませんよ。まずは問診で症状を詳しく伺います。耳から鼓膜の観察をしたり、鼻から耳鼻科用内視鏡を挿入して鼻側の耳管の状態を確認します。

患者さん

内視鏡は鼻からですか?

田中先生

はい、細いカメラを鼻から挿入して耳管の開口部を確認します。鼓膜の動きも見られるので非常に有用です。


患者さん

治るんですか?

田中先生

軽度の場合は、漢方薬などで改善することもあります。たとえば生理食塩水を点鼻して、耳管の中の粘膜を一時的に腫らして閉じさせる方法があります。

患者さん

漢方薬って効くんですか?

田中先生

加味帰脾湯(かみきひとう)や補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などが用いられます。これらは体質改善や自律神経調整を目的としています。

患者さん

それでも治らなかったらどうなるんですか?

田中先生

重度の場合は、外科的な治療を検討します。たとえば、耳管にピンを挿入したりして、物理的に閉じる方法があります。

耳管ピン挿入は総合病院への紹介になります。


患者さん

再発を防ぐにはどうすればいいですか?

田中先生

まずは急激な体重減少を避けてください。水分補給もこまめに。脱水状態が続くと、症状が悪化します。また、ストレス管理や睡眠も大切です。

患者さん

鼻をすするのはどうですか?

田中先生

鼻すすりは癖になると真珠腫性中耳炎という病気になることがあるので、耳管開放症の有無に関係なく避けたほうが良いです。


  • 耳管開放症は「自声強聴」や「耳閉感」「自己呼吸音」が主な症状。
  • 原因の多くは急激な体重減少・脱水・ストレス
  • 診断は問診・鼓膜所見の観察・耳鼻科内視鏡検査で行われる。
  • 軽度なら漢方薬で改善することも。
  • 重度の場合は耳管にピン挿入など総合病院で外科治療も検討。
  • 予防には水分補給・体重管理・ストレスコントロールが重要。
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