日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 専門医在籍施設

「そのいびき、病気かも?」耳鼻咽喉科医が教える”大人の”睡眠時無呼吸症候群とCPAP療法

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患者さん

先生、最近すごくいびきが大きいって家族に言われるんです。朝も頭が痛くて、昼間は眠くて……これって病気なんですか?

田中先生

それは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれません。睡眠中に10秒以上呼吸が止まる状態が、1時間に5回以上、あるいは一晩で30回以上あると診断される病気です。特に耳鼻咽喉科では、上気道(鼻・のど)の構造や狭さが原因となっている閉塞型SASを診ることが多いですね。

患者さん

確かに、昼間すごく眠くて、会議中にうとうとしちゃうこともあります。

田中先生

SASの方によくある症状ですね。他にも、朝の頭痛、熟睡感がない、夜中に何度もトイレに行く、集中力が低下している、さらには性機能の低下まで…意外と多くの体の不調が出るんですよ。

患者さん

原因って何なんですか?最近体重増えてきた影響でしょうか…?

田中先生

それもあります。閉塞型SASは、肥満による気道の圧迫、扁桃肥大、鼻づまり、あごが小さいなどの上気道の構造的な問題で起こります。耳鼻咽喉科では、この“狭くなった気道”の評価が得意分野なんです。

患者さん

ただのいびきくらいに思ってたけど、そんなに危ないんですか?

田中先生

はい、放置すると高血圧・心筋梗塞・脳卒中のリスクが上がります。例えば、SASの人は心筋梗塞のリスクが健常者の2〜3倍になるというデータもあります。また、日中の眠気が原因で交通事故のリスクは健常者の約7倍とも言われています。

患者さん

どうやって検査するんですか?

田中先生

まずは、簡易ポリソムノグラフィー(PSG)検査です。詳しく調べるには精密PSGという検査があります。昔は入院が一般的でしたが検査機器が進歩して、自宅でできるようになりました。

患者さん

もし睡眠時無呼吸症候群って診断されたら、どう治すんですか?

田中先生

軽度なら生活習慣の見直しや、マウスピース(口腔内装置)での対応もあります。でも、中等度以上の場合はCPAP療法という治療が効果的です。

患者さん

CPAPって聞いたことありますけど、どんな治療なんですか?

田中先生

CPAP(シーパップ)は、鼻にマスクをつけて、空気を送ることで気道を常に開かせておく治療です。寝ている間に無呼吸が起こらないようにするんですね。最も効果が高く、SASの治療では世界的にも標準治療です。

患者さん

ちゃんと治療したら、効果ってすぐ出るものなんですか?

田中先生

多くの方が初日から効果を実感されます。いびきがなくなった、朝スッキリ起きられた、日中の眠気がなくなったと驚かれることも多いですよ。さらに、高血圧が改善したというデータもあります。

患者さん

なんか、空気を送られるってちょっと不安です…

田中先生

最初は違和感がある方もいます。鼻の乾燥、マスクの締め付けなどを感じる方も。でも、機械も年々進化していて、湿度調整機能付き、フィット感の高いマスクなど、慣れてしまえば快適です。多くの方が1〜2週間で慣れていますよ。

患者さん

保険はきくんですか?

田中先生

はい、保険適用されます。自己負担3割の場合、月額で約4,000〜5,000円程度です。CPAP装置は基本的にレンタルで、月に1度の通院とデータ確認が必要になります。

田中先生

治療継続のコツは、自分に合ったマスクを選ぶことと、使った記録(使用時間や無呼吸の回数など)を医師と共有しながら調整していくことです。当院でも装着指導やフォローアップを行っていますので、安心して取り組んでください。

患者さん

はい、ありがとうございます!

まとめ

  • SASは10秒以上の無呼吸が1時間に5回以上で診断される病気
  • 主な症状は、いびき・日中の眠気・夜間頻尿・頭痛
  • 放置すると心疾患や脳卒中などの重大疾患リスクが上昇
  • 検査は自宅での簡易検査が可能、耳鼻咽喉科でも対応
  • 中等度以上ならCPAP療法が効果的で、保険適用あり
  • 治療継続の鍵は、自分に合ったマスクと医師との連携
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