日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 専門医在籍施設

【症状解説】“匂いを失う”は身体からのサイン。原因と治療法とは?

今回は「匂いの感じづらさ、このままでも大丈夫?」という質問に対して、ある患者さんとの会話を通じてご紹介します。原因や症状、対策について詳しくお話ししますので、ぜひご参考にしてください。

たなか先生、最近匂いを感じづらくなっているんですが、これって何かの病気ですか?

たなか先生

そうですね。匂いを感じづらい、または全く感じない場合、それは『嗅覚障害』と呼ばれる状態かもしれません。この症状は実際、耳鼻科の外来では珍しくない相談なんですよ。

嗅覚障害って、どうして起こるんですか?

たなか先生

嗅覚障害には大きく3つのタイプがあります。一つ目は『気導性嗅覚障害』。これは匂いの成分が嗅粘膜に届かない状態で、例えば鼻づまりや副鼻腔炎が原因となります。二つ目は『嗅神経性嗅覚障害』で、ウイルス感染や薬物の影響によって嗅神経がダメージを受けている場合です。最後に、『中枢性嗅覚障害』があります。これは脳の障害が原因で、脳梗塞や頭部外傷によるものが多いです。

ウイルスが原因になることもあるんですね。最近は新型コロナが話題になっていますが、関係があるんですか?

たなか先生

そのとおりです。新型コロナウイルス感染症は嗅神経性嗅覚障害を引き起こすことがあります。ある研究では、COVID-19患者のうち30~80%が嗅覚に何らかの異常を感じるとされています。多くは数週間で回復しますが、一部の人は長期間続くこともあります。

私、花粉症もあるんですが、それも影響しますか?

たなか先生

花粉症のようなアレルギー性鼻炎も嗅覚に影響します。特に鼻づまりがひどいと、匂いの成分が嗅粘膜に届きにくくなるため、気導性嗅覚障害に該当します。

嗅覚障害はどうやって診断するんですか?

たなか先生

まず耳鼻科内視鏡で鼻腔内の状態を確認します。それに加えて、総合病院に紹介になりますが、嗅覚検査を行うこともあります。例えば、特定の匂いを嗅いでもらい、その感じ方を記録するテストがあります。必要に応じてCTやMRIを使って脳や副鼻腔の状態を詳しく調べることもあります。

治療法はどんなものがありますか?

たなか先生

原因に応じて異なります。副鼻腔炎が原因の場合は、まず薬物療法で炎症を抑えます。点鼻薬や内服薬、場合によっては手術が必要になることもあります。また、ウイルスが原因の場合は、嗅神経の機能回復を目的にビタミン剤や漢方薬を使用することもあります。脳の病気が関係している場合は、脳神経内科あるいは脳神経外科と連携しながら治療を進めます。

治療を始めたら、どのくらいで回復しますか?

たなか先生

これは原因や個人差によりますが、例えば急性の副鼻腔炎であれば数週間で改善することが多いです。一方、ウイルス性の嗅覚障害は回復に数か月かかることがあります。早期診断と治療が重要ですので、気になる症状があれば早めに相談してくださいね。

わかりました。たなか先生、ありがとうございました。

以上、「嗅覚障害」について解説しました。嗅覚障害の原因には、鼻や副鼻腔の炎症による匂いの通り道の遮断(気導性嗅覚障害)、ウイルス感染や薬物による嗅神経のダメージ(嗅神経性嗅覚障害)、頭部外傷や脳の病気(中枢性嗅覚障害)などがあります。また、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、新型コロナウイルス感染症なども関係している場合があり、原因に応じた適切な診断と治療が重要です。嗅覚障害を放置すると、食事の味が感じられなくなることで食欲低下や栄養不足につながるだけでなく、生活の質が低下することもあります。特に、新型コロナウイルス感染症の影響で嗅覚異常が報告されているため、気になる症状があれば早めに専門医を受診することをおすすめします。嗅覚障害の治療には、鼻の炎症を抑える薬物療法や点鼻薬、副鼻腔炎に対する手術療法などがあり、原因に応じて適切な対応が可能です。
嗅覚の異常や匂いに関する症状が気になる方は、ぜひ耳鼻科など専門医にご相談ください。

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