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耳管開放症は、ストレスや妊娠をきっかけに発症・悪化することが多い疾患です。
本記事では、田中先生と患者さんの会話形式で、ストレスや妊娠中に耳管開放症が起こるメカニズムと、漢方薬を中心とした治療法についてわかりやすく解説します。
耳管開放症とストレスの関係
患者さん先生、前に耳管開放症と診断されたのですが、最近仕事が忙しくなってから、また症状がひどくなった気がします。ストレスと関係があるのでしょうか?



はい、大いに関係があります。耳管開放症はストレスが原因で悪化することが知られています。ストレスを受けると自律神経のバランスが乱れて、耳管周囲の血流や筋肉の緊張に影響します。その結果、耳管がうまく閉じなくなり、自分の声が響く「自声強聴」や耳がこもる「耳閉感」が強くなることがあるんです。



やっぱりそうなんですね…。特に朝が辛くて、自分の呼吸音が聞こえるんです。



ストレスに加えて、疲労や睡眠不足も耳管開放症を悪化させる要因です。ストレスがかかると食欲が落ちて体重が減ることもありますよね。急激な体重減少は耳管周囲の脂肪組織を減らしてしまうので、二重の意味で症状を悪化させてしまいます。



確かに、最近あまり食べられていなくて、少しやせました…。



まさにその状態が耳管開放症を悪化させる典型的なパターンです。まずは無理のない範囲でしっかり食事をとること、そして十分な睡眠を確保することが大切です。ストレスそのものへのケアも、耳管開放症の治療の一部なんですよ。
妊娠中に耳管開放症が起こりやすい理由



実は友人が妊娠中に耳管開放症になったと言っていました。妊娠も関係あるんですか?



妊娠中の耳管開放症はとても多いんです。妊娠するとホルモンバランスが大きく変わりますよね。特にエストロゲンやプロゲステロンの変動が、耳管周囲の粘膜や組織に影響を与えます。



ホルモンで耳に影響が出るなんて意外です。



そうですよね。さらに、妊娠中はつわりで体重が減ったり、脱水になりやすかったりします。これらはすべて耳管開放症のリスク因子です。妊娠中期から後期にかけて症状が出る方が多いですね。



妊娠中に耳管開放症になった場合、治療はできるんですか?赤ちゃんへの影響が心配です。



ご安心ください。妊娠中でも安全に行える治療法はあります。たとえば一部のステロイド点鼻薬は赤ちゃんへの影響が低いとされています。また、漢方薬の中にも妊娠中に使えるものがあります。ただし、必ず産婦人科の主治医と相談しながら進めることが大切です。



出産後は治りますか?



多くの場合、出産後にホルモンバランスが戻ると自然に改善します。ただ、産後の疲労や睡眠不足、授乳による脱水で症状が続く方もいますので、産後もこまめな水分補給と体調管理を心がけてくださいね。
耳管開放症に使われる漢方薬



先ほど漢方薬の話がありましたが、耳管開放症に効く漢方薬にはどんなものがあるんですか?



耳管開放症の漢方治療でよく使われるのは「加味帰脾湯(かみきひとう)」です。加味帰脾湯は気や血を補い、精神的な不安や不眠を改善する効果があるとされていて、ストレスが関係する耳管開放症にはとても相性が良いんです。



加味帰脾湯…聞いたことがあります。他にもありますか?



はい。「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」もよく処方されます。こちらは体力や気力が低下しているときに使う漢方薬で、疲れやすい、食欲がないといった症状がある方に向いています。体重減少が原因の耳管開放症には特に効果が期待できます。



漢方薬ってすぐに効くんですか?



漢方薬は体質を改善していく治療なので、一般的には2週間から1か月ほど飲み続けて効果を判断します。即効性はありませんが、西洋薬にはない穏やかな体質改善が期待できるのが特徴です。ストレスや疲労が原因の耳管開放症では、こうした体の内側からのアプローチが大切なんです。



副作用は大丈夫でしょうか?



漢方薬にも副作用がないわけではありませんが、西洋薬に比べると比較的穏やかです。ただし、体質に合わないと胃腸の不快感やむくみが出ることもあります。処方する際は患者さんの体質をしっかり見極めてから選びますので、自己判断で市販の漢方薬を飲み始めるよりも、まずは耳鼻科でご相談いただくのが安心です。
漢方以外の治療法と生活上の工夫



漢方薬以外にも、日常でできることはありますか?



もちろんです。まずは水分補給をこまめに行うこと。脱水は耳管開放症の大きな悪化因子です。1日1.5〜2リットルを目安に、少しずつ飲むようにしましょう。



カフェインの入ったコーヒーでもいいですか?



カフェインには利尿作用があるので、水やカフェインレスの飲み物がおすすめです。特に夏場や運動後は意識的に水分を摂ってください。それから、前かがみの姿勢や頭を下げると一時的に症状が楽になることがあります。これは頭を下げることで耳管周囲の血流が増え、耳管が閉じやすくなるからです。



鼻をすすると楽になるのでつい癖になっているのですが…。



鼻すすりは一時的には楽になりますが続けると、鼓膜が中耳内に引き込まれて「真珠腫性中耳炎」という深刻な病気を引き起こすことがあります。つらいときは我慢せず耳鼻咽喉科を受診しましょう。
病院を受診すべきタイミング



どのくらい症状が続いたら病院に行ったほうがいいですか?



自分の声が響く、呼吸音が聞こえる、耳がこもった感じがするといった症状が1週間以上続く場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。特にストレスを強く感じている方や、急にやせた方、妊娠中の方は耳管開放症の可能性が高いです。



放っておくと悪化しますか?



耳管開放症そのものが命に関わることはありませんが、症状が続くと日常生活に支障が出たり、精神的なストレスが増えて悪循環に陥ることがあります。また、鼻すすりの癖がつくと先ほどお話しした中耳炎のリスクもあります。症状に気づいたら、我慢せずに受診してくださいね。
まとめ
- 耳管開放症はストレス・疲労・睡眠不足で悪化しやすい。自律神経の乱れが耳管の開閉に影響する。
- 妊娠中はホルモン変動・つわりによる体重減少・脱水が原因で耳管開放症を発症しやすい。多くは出産後に改善する。
- 漢方治療では「加味帰脾湯」「補中益気湯」が代表的。体質改善を目的に2週間〜1か月ほど服用して効果を判断する。
- 鼻すすりは真珠腫性中耳炎のリスクがあるので出来るだけ避けること。
- こまめな水分補給・体重管理・ストレスケアが予防と改善のカギ。
- 症状が1週間以上続く場合は耳鼻咽喉科への受診をおすすめ。








