日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 専門医在籍施設

【耳鼻咽喉科専門医が解説】咽頭炎の症状・原因|うつるの?なりやすい人の特徴

咽頭炎はのどの痛みや発熱を引き起こす身近な疾患です。「ただの風邪」と思って放置していると慢性化することも。

本記事では、咽頭炎の症状・原因・うつるかどうか・なりやすい人の特徴について、田中先生と患者さんの会話形式でわかりやすく解説します。

目次

咽頭炎とは

患者さん

先生、数日前からのどがすごく痛くて、飲み込むときが特につらいんです。ただの風邪でしょうか?

田中先生

のどの奥を見せてくださいね。…はい、咽頭(いんとう)の粘膜が赤く腫れています。これは「咽頭炎」です。咽頭というのは、鼻の奥から食道の入り口までの部分のことで、ここに炎症が起きた状態を咽頭炎と呼びます。

患者さん

風邪とは違うんですか?

田中先生

風邪は鼻水やくしゃみなど全身の症状を含む広い概念ですが、咽頭炎はその中でも「咽頭」という場所に焦点を当てた診断名です。風邪の一部として起こることもあれば、細菌感染やストレスなど別の原因で単独で発症することもあります。

咽頭炎の主な症状

患者さん

咽頭炎になると、どんな症状が出るんですか?

田中先生

代表的な症状はのどの痛みです。特に飲み込むときの痛み(嚥下痛)が強いのが特徴です。そのほかにも、38度以上の発熱、のどの粘膜の赤みや腫れ、倦怠感といった全身症状がみられます。

患者さん

のどの痛み以外にもあるんですね。耳が痛い感じもするんですが、それも関係ありますか?

田中先生

あります。咽頭の痛みを感じる神経と耳の痛みを感じる神経は合流して脳に向かうので、咽頭の炎症が耳の痛みとして感じられることがあります。これを「放散痛」といいます。また、声がかすれたり、痰が絡むといった症状もよくあります。

患者さん

急性と慢性で症状は違いますか?

田中先生

はい、かなり違います。急性咽頭炎は突然のどの痛みや高熱で始まり、数日から1週間程度で治まるのが一般的です。一方、慢性咽頭炎は激しい痛みや熱はないものの、のどの違和感やイガイガ、痰がらみが何週間も続きます。「のどがすっきりしない状態がいつまでも続く」という訴えが多いですね。

咽頭炎の原因

患者さん

咽頭炎の原因にはどんなものがあるんですか?

田中先生

最も多いのはウイルス感染です。アデノウイルスやライノウイルスなどが咽頭の粘膜に感染して炎症を引き起こします。次に多いのが細菌感染で、特に「A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)」による咽頭炎は子どもから若い大人に多く、注意が必要です。

患者さん

ウイルスや細菌以外にも原因はありますか?

田中先生

実はストレスも咽頭炎の大きな原因のひとつです。ストレスがかかると免疫力が低下して、咽頭の粘膜がウイルスや細菌に対抗できなくなります。また、ストレスによる自律神経の乱れがのどの血流を悪化させ、炎症が起こりやすくなることもあります。

患者さん

それ以外の原因もありますか?

田中先生

はい。乾燥した空気やエアコンの使いすぎでのどの粘膜が乾燥すること、口呼吸やいびきでのどが乾くこと、タバコやアルコールの刺激、胃酸の逆流(逆流性食道炎)なども咽頭炎の原因になります。特に慢性的にのどの不調が続く場合は、こうした感染症以外の原因が隠れていることがあります。

咽頭炎はうつる?

患者さん

咽頭炎は人にうつるんでしょうか?家族に小さい子どもがいるので心配です。

田中先生

咽頭炎がうつるかどうかは、原因によります。ウイルス性の咽頭炎や、溶連菌などの細菌性咽頭炎は、飛沫感染や接触感染で人にうつります。くしゃみやせきの飛沫、タオルや食器の共有などで感染が広がります。

患者さん

やっぱりうつるんですね…。何か対策はありますか?

田中先生

手洗い・うがいをこまめに行うこと、マスクを着用すること、そしてタオルやコップを共有しないことが基本です。

患者さん

ストレスや乾燥が原因の咽頭炎はどうですか?

田中先生

ストレスや乾燥、胃酸の逆流などが原因の咽頭炎は感染症ではないので、人にうつることはありません。ただし、自分で原因を見分けるのは難しいので、のどの痛みがあるうちは感染予防の行動をとっておくのが安心です。

咽頭炎になりやすい人の特徴

患者さん

咽頭炎になりやすい人には何か特徴があるんですか?

田中先生

まず、口呼吸の癖がある方です。鼻づまりやアレルギー性鼻炎で口で呼吸していると、咽頭の粘膜が乾燥してバリア機能が弱まります。その結果、ウイルスや細菌に感染しやすくなるんです。

患者さん

なるほど…。他にはどんな人がなりやすいですか?

田中先生

以下のような方は咽頭炎になりやすい傾向があります。まず、声をよく使う職業の方。教師、歌手、コールセンター勤務など、日常的にのどに負担をかけている方です。次に、喫煙者。タバコの煙は咽頭の粘膜を直接傷つけます。

患者さん

お酒をよく飲む人もですか?

田中先生

はい、アルコールも咽頭の粘膜を刺激して炎症を起こしやすくします。それから、ストレスが抜けきらない日々を送っている方、睡眠不足や不規則な生活が続いている方も免疫力が低下してかかりやすくなります。

患者さん

季節は関係ありますか?

田中先生

空気が乾燥する秋から冬にかけては咽頭炎が増えます。また、夏場もエアコンの使いすぎで室内が乾燥し、咽頭炎を起こす方が少なくありません。季節を問わず注意が必要ですね。

咽頭炎の治し方と受診の目安

患者さん

咽頭炎は自力で治せますか?

田中先生

軽度のウイルス性咽頭炎であれば、安静・水分補給・のどを加湿することで1週間程度で改善することが多いです。のど飴やはちみつものどの潤いを保つのに役立ちます。

患者さん

どんなときに病院を受診したほうがいいですか?

田中先生

次のような場合は早めに耳鼻咽喉科を受診してください。3日以上高熱(38度以上)が続く場合、水も飲み込めないほどのどが痛い場合、のどの痛みが1週間以上改善しない場合、それから白い膿がのどの奥に見える場合です。

患者さん

白い膿というのは何ですか?

田中先生

咽頭のうち扁桃が細菌感染する細菌性扁桃炎の場合、扁桃に白い膜状の膿(白苔)が付くことがあります。溶連菌は放置するとリウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を起こす可能性があるので、抗生物質での治療が必要です。自己判断で放置せず、必ず受診してください。

患者さん

慢性的にのどの不調が続いている場合はどうですか?

田中先生

のどの違和感や痰がらみが2週間以上続く場合は、慢性咽頭炎や慢性上咽頭炎の可能性があります。また、まれに咽頭がんなどの重大な疾患が隠れていることもありますので、長引くのどの不調は必ず耳鼻咽喉科で診てもらうようにしてください。

咽頭炎を予防するための生活習慣

患者さん

咽頭炎を繰り返さないために、日常で気をつけることはありますか?

田中先生

いくつかあります。まず、のどの加湿を心がけてください。室内では加湿器を使って湿度50%~60%を保つのが理想です。エアコンの風が直接のどに当たらないようにすることも大切です。

患者さん

うがいは効果的ですか?

田中先生

はい、帰宅後のうがいはとても効果的です。咽頭に付着したウイルスや細菌を洗い流す効果があります。それから、鼻呼吸を意識すること。口呼吸だとのどが乾燥して感染リスクが上がります。

患者さん

ストレスが原因の場合はどうすれば?

田中先生

ストレスのコントロールも咽頭炎の予防には欠かせません。十分な睡眠、適度な運動、バランスのとれた食事を心がけてください。免疫力が高い状態を保つことが、一番の予防法です。また、喫煙されている方は、のどのためにも禁煙を強くおすすめします。

まとめ

  • 咽頭炎は咽頭(鼻の奥~食道の入り口)の粘膜に炎症が起きた状態。急性と慢性で症状が異なる。
  • 主な症状はのどの痛み・発熱・声のかすれ・痰がらみ。耳の痛み(放散痛)を伴うことも。
  • 原因はウイルス・細菌感染のほか、ストレス・乾燥・胃酸逆流・喫煙など多岐にわたる。
  • ウイルス性・細菌性の咽頭炎は飛沫・接触感染で人にうつる。手洗い・うがい・食器の使い分けが予防の基本。
  • なりやすい人の特徴は、口呼吸・声を使う職業・喫煙・飲酒・ストレス過多・睡眠不足など。
  • 3日以上の高熱・水も飲めないほどの痛み・1週間以上改善しない場合は早めに耳鼻咽喉科へ。
  • 予防にはのどの加湿・鼻呼吸・うがい・禁煙・ストレスケアが重要。
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